[In Japanese] Gilberto Gil's talk at Google Zeitgeist / ブラジル文化大臣、ジルベルト ジルの Google Zeitgeist での講演

gilberto-gil.jpg (この写真は、CCのバースデイパーティで撮影されたものです)

2003年にブラジルの文化庁文化大臣になってから、デジタル技術を文化的側面からみてきました。 文化庁では、行政の中で、文化の戦略的な役割というものを強く主張してきました。デジタル技術 との関係によって、私達の政治、国家、社会の考え方を根底から変えることになります。

政治やその執行機関にとって、急進的な変化というものは、歴史上の特異な時期にしか起こらない ものです。政治と政権運営の均衡を保つ為に、政策決定の中に文化や文化的多様性を持ち込む事で 私達は、この根本的な変化を着実にもたらす機会を起こそうとしています。古典的な変革方法では なく、日々の工業的、社会的な技術のインプットをしています。新しいデジタル技術の可能性を みると、革命的な内蔵機能をみてとれます。デジタル文化を牽引することは、伝統的な政治、すな わち、特に政治セクターにおいてみられるような批判的な物事の考え方やひねくれた考え方をなくし、 これまで当たり前と考えてきた予定調和的な社会を内部から揺さぶる基礎の役割となるでしょう。 伝統的な政治は、先進の民主主義と社会展開に取って変わられることに気がつかなければいけません。 インターネット周辺で起きてきたデジタル技術の変化は、 とても平和的な革命であるといえます。 今やあちこちで見かけられるボトムアップによる社会的動揺は、民間による政治運動のはっきりと したサインだと、私はみています。そして、近年の文化的またはアングラ的な動勢としては、最も 直接的で、成熟したものになると信じていますし、民政への影響力も増してきていると思います。

それは、ピアツーピアな文化の誕生、”ピアラシー”の誕生といえましょう。

私がこれまでにブラジルや他の国々で見てきたことは、 こうした新しい政治的な動きというものは、 伝統的な政治からは生まれてこないということです。もはや民主主義にも頼ってなどいません。 逆の面では、そうしたものは選挙制度の外で働きますが、選挙制度にある程度影響を与えるのです。 人々は、もっと新しくて、積極的な方法で政治に関わりたいと思うものです。このような社会的動揺は 文化の多様性やピアツーピアによるアクション、そして21世紀型の新しい発展モデルが引き起こそうと しているものを真に理解した政治機関によってなされると、私は考えます。

21世紀のテクノロジーは、規制への大きな挑戦を示しています。デジタル技術の結集によって生み出される 改革は、私達の生き方のほとんど全てを作り変えることになるでしょう。公的責任のある人は誰でも、 人類史上最も直接的でパワフルな方法で知識の共有化をしている知的所有権のデジタル流通に関心を 持つべきです。ただし、これまで型どおりの団体がデジタル流通は、”著作権侵害だ”と主張するような やりかたではいけません。

それよりも、新しいビジネスモデルを検討していきましょう。政治的規制の分析に新鮮味を与えるような ビジネスモデルを検討していきましょう。

私がこれまで文化庁で関係してきたデジタル文化の考え方や現実は、市民社会におけるこれまでとは 違った調和、どこか根本的に違う形での、いわゆる”共生”が可能であることを示しています。

世界中の多くの企業や政府機関は保守的であろうとし、デジタルの新しい可能性について阻止しようと します。これまでのどんな技術革新もみなそうでした。知的所有権のデジタル流通も、同じ視点でみると、 既存のビジネス、安全保障、社会統制への脅威とみなされるでしょう。こうした認識は、一時的な後退で すぐに解消されるものです。しかし、他の様々な技術と同じように、デジタル技術についても、個人や 社会の利益を損なうことがないように慎重に取り扱う必要があります。それ故に、私は、デジタル技術 について人間性を考えるだけではなく、政治的問題として扱おうとしているのです。そのために、 徹底的に議論し、人と社会全体で使えるようにするのです。規制は、自由を保障し、オープンに知財を 利用できるようにするものであるべきです。”従来通りのビジネス目的”ではいけないのです。

ここで、友人であり、偉大な思想家で活動家であるローレンス・レッシグの言葉を引用します。 レッシグは、彼の著書である「CODE 2.0」で、自由と人間関係の新しい形を保証するような、これまで とは違う規制が必要であると指摘しています。彼は、インターネットが先進的な社会改革の可能性を保ちながら 成熟するまで生き延びることを保証するような存在価値を与えるべきだと主張しています。これを受けて、 私達は、統治についての新しい政治的な理解というものを議論すべきなのです。共同体を保証し、 サイバースペースの存在を解放したいのであれば、全く新しい規制の枠組みを見つけ出す必要があるでしょう。 そうでなければ、このようなデジタル技術による自由思想の可能性は断ち切られてしまうでしょう。

文化庁では、ブラジル国内にインターネットを使い、700以上の草の根コミュニティに対するデジタル・ マルチメディア・スタジオを提供しています。

ブラジルには、インターネットを通じて、仕事や文化に関する映像録画や楽曲を録音したり、出版する コミュニティがあります。こうした新しい風潮は、さらに活発なアイデア、革新的な物作り、現実の社会形成への エンパワーメント課程を作り出すことに発展しています。このプロセスが、ブラジルのマルチメディア・ プロデューサー達のネットワーク形成を誘発、促進しています。このネットワークはまもなく、著作者と アーティスト達の連携へとなっていくことでしょう。

ブラジル政府が推進するPontos de Cultura(ポントス・ジ・クルトゥラ,文化的ホットスポットの意)での このデジタル技術経験は、新しい概念や言語による社会文化的な草の根コミュニティ間のやり取りを可能にしました。 コミュニティや文化の生産者達が始めたこの貴重なプロセスやネットワーク化は、政府から離れて、自律的に おきたのです。このコミュニティ内の子供達がデジタル技術を文化的な行動をするためのツールとして認識する 頃には、変化がはじまるでしょう。言い換えれば、社会変革は、サイバースペースを自身の領域と気づいて、 データをダウンロードする一方ではなく、アップロードする側になり、表現し始めた時に始まるでしょう。 今まさにそうしたことが起ころうとしています。 私は、皆さんを来年ブラジルにお招きして、こうした議論をしたいと思っています。私達は、多くの研究機関が 新しいデジタル世界の可能性について徹底的に調査する機会を提供していきたいのです。

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